東京都・宿泊療養体験記2022夏

2022年7月下旬 新型コロナ陽性になりました

宿泊療養中の生活

『宿泊療養までの道のり』
『持ち物について』
 は、↑のタイトルをクリック。

 さて、実際の宿泊療養について時系列に沿って書いていく。といっても1日目以外は特に代わり映えしない日々なのだが。
 ちなみに筆者の療養先は23区内、どちらかというと西側エリアにあるホテルだった。どういう振り分け方かは不明だが、東京郊外在住なので帰りのことを考えると西側エリアなのはありがたかった。



○療養1日目(発症5日目)
 前日に「9時から11時の間に送迎車が自宅前に行く。詳しくは当日、ドライバーから直接連絡する」との予告を受けていた。そのため、前日のうちに冷蔵品以外は全部準備を終え、玄関にスタンバイさせておく。
 朝、相変わらず寝汗はかいているが、咳による肋骨の痛みはだいぶよくなっていた。発熱もない。

 朝9時に「10時15分過ぎに到着予定」との電話が入り、牛乳やゼリー等の冷蔵品を保冷剤ごとリュックサックに詰める。機内持ち込みサイズのキャリーと無印のリュック、持っていくのはこの2つだ。
 9時50分、「予定より早く到着した」との連絡を受け外に出ると、7~8人乗りくらいの大きな車が門扉の前に停まっていた。ビニールで厳重に仕切られた運転席にドライバーさん、後部座席左側に若い男性。足元にキャリーケースを置いて男性の横に乗り込むと、誰もが無言のまま送迎車は発進した。

 自分の後は誰も乗ってこず、車は途中で高速道路を使いつつ数十分でホテルの正面玄関前に。警備員さん達が複数いてものものしい。
 降りていいのかどうなのか迷ったが、とにかく誰も喋らないのでそのまま待つことに。自分達のあとにもう1台似たような車が来たが、やっぱりそちらも誰も降りない。
 しばらく待っていると、原色のナイロンベストを着た係員らしき人がバインダーを抱えてやってきてドライバーさんとなにやら話し合い、やっとホテル内に入れることになった。

 ホテルの1階受付でカードキーつきの茶封筒を受けとり、血圧測定を経て封筒に書かれた部屋へと入る。おそらく清掃等を担当しているのだろう、全身防護服姿の人が廊下を歩いていた。

 部屋に入るとすぐに内線がかかってきて、茶封筒の中身や療養中の注意事項などについて説明を受ける。まずやるべきことはWeb問診アプリで現在の状況を申告すること、それから1日2回健康状態を入力する『LAVITA』というアプリに測定した体温や酸素飽和度を入力すること。意外と慌ただしい。
 LAVITAの入力中に今度は看護師さんから内線がかかってきた。問診アプリに入力した内容についての詳細な聞き取りが主体。「最後に37.5℃以上が出たのはいつか」をかなり細かく聞かれたので、マメに計って記録をつけておくのをおすすめする。自分はうろ覚えだったので結構困った。
「水分をたくさん取ってほしいので、次のご飯の時に水やお茶のペットボトルを何本か部屋に持ち帰って」と言われる。また、持参した処方薬や市販薬についてのアドバイスも。熱が下がっているなら解熱剤は飲まずに経過観察を、消炎剤や咳止めは積極的に活用してほしい、等々。

 1時間もたたずに12時となり最初の配給、昼食の時間になった。記念すべき?最初の食事は『鶏の照り焼き弁当』、結構ガッツリめだ。

 これはこの後もずっとそうだったのだが、使用可能なエレベーターが少ないので配給開始直後は上層階の人だけで満員になり、中層階は何台も見送ることになる。他の施設でもこれは同じだったそう。結局、10~15分くらい時間をずらすことで解決した。

 16時に2度めのLAVITA入力時間、18時に夕食時間が来る。それぞれ、30分前(LAVITAは10分前)と開始時間に全館放送が入る。

 夕食は『鯖のごま醤油焼き弁当』。昼とはお弁当の納入業者が違うようだ。お弁当は冷めているので、数台ある電子レンジに毎回行列ができる。
 ゴミ捨てやゴミ袋含むアメニティ配布、水やお茶の配布も1日3回の食事時間にだけ可能となる。と、いうかその時間以外は室外に出られない。ちなみに差し入れや事務局に依頼した品を受け取れるのは原則として夕飯時間のみで、事務室前に部屋番号が入ったビニール袋がずらっと並べられていた。

 なんだかんだとドタバタしつつ、1日目終了。


○療養2日目(発症6日目)
 朝6時50分にLAVITAの予告放送が入る。毎日、朝7時と夕方16時に健康状態の報告が義務付けられているのだ。体調はたまに咳が出る程度で検温等にも異常はない。

 朝食の配給は8時。昼とも夜とも違う業者っぽい見た目の朝食は『焼き鯖弁当』、うわ2連続でサバきた。
 朝は昼夜と比べると食事を取りに来ている人が少ない、気がする。水やお茶だけを持って帰る人も。おそらく療養者の6~7割が29歳以下の若い世代、40歳以上は1割いるかどうかな気がする。あれ?50歳以上優先って話どこ行った?
 たいていは1人だが、夫婦らしき男女二人組や小さな子供連れもちらほら。

 朝10時半前後、廊下が何度かざわつく。この時間は療養者が室外に出られないので、入所か退所だろうなという気が。

 昼食は『みそカツ弁当』夕食は『スパイシータンドリーチキン弁当』。ガッツリ系が続くのは若い療養者が多いからか。贅沢は言えないが、生野菜がほぼないのが寂しい。
 去年家族がアパ系列で療養した友人から「アパは火曜昼に必ずアパカレーが出る」「少しだがサラダとデザートがついていたらしい」と教えてもらう。いいなーカレー、いいなーサラダとデザート。
 施設によってお弁当の納入業者が違うんだな、都内だけで宿泊療養者が数千人いるから当たり前か、などと思う。
 20時頃、廊下でドタバタする音と男性の声が聞こえた。また、22時台に何度か女性の甲高い声も。なんだろうな~と思いつつ湯船に張ったお湯を排水…してたら、なんとユニットバス内全体が浸水。ひょっとして、あちこちの部屋の騒ぎはこれか…?
 しばらくしたら水が引いたので、事務局に頼んで雑巾がわりのタオルを事務室前に置いてもらい、取りに行くことに。念のため、翌日以降は湯船にお湯を張るのをやめた。


○療養3日目(発症7日目)
 特段代わり映えのしない日、だが。初めて朝食にパンが出た。サンドイッチとマフィン。わーいやったー。

 ホテルの照明が暗めなので、明るい日中は窓辺で読書、夕方以降はテレビを見たりブログを書いたりネットで動画を見たりという過ごし方に。引きこもりがまったく苦にならない超インドア体質でよかった。ただ、幸運にも自分にはかなり広めの部屋が割り振られたが、これが11~12㎡の狭小ビジネスホテルだと、特に体が大きな人は気詰まりかもなと思う。
 部屋の乾燥対策を兼ねて日中に洗濯物を部屋干ししているが、乾くのが早い。パリッパリになる。洗濯洗剤、自分は海外旅行用に取ってあった小分けのを持ってきたが、なければ事務局で用意してもらえる。

 昼食は『デミハンバーグ弁当』、夕食は『鱈のしば漬けタルタルソース弁当』。目先を変えてくれているのだろうが、副菜が毎回ほぼ一緒なのもあってあまり変わった感じがしない。贅沢は言えないけれども。


○療養4日目(発症8日目)
 この日も朝10時台に廊下がざわついていた。そして、大きな道路が近いからだろうが、窓の外で救急車の音が時々聞こえる。でも基本的にはとても静かだ。
 水分をたくさん取ってほしいと看護師さんに言われたのもあり、配布のペットボトル緑茶・水を飲むのに加え、持ってきたコーヒーや紅茶を日に何度か入れていた。家にあった様々な種類のインスタントやティーバッグをありったけ、牛乳と一緒に詰めてきてよかった。

 朝食は『焼き鮭弁当』昼食は『チンジャオロース弁当』夕食は『塩焼き肉弁当』。
 夜が韓国風でキムチもついていたのが、醤油味系のおかずが多い日々のお弁当の中で新鮮だった。


○療養5日目(発症9日目)
 朝夕の測定値はまったく問題なし。この分なら予定通り明後日に退所可能かな~と思いつつ、説明書の退所についての記述がかなり曖昧なので昨年家族が宿泊療養した友人にその辺を聞いてみる。
 昨年は退所前日夕方に「荷物の準備をしておくように」と予告があったらしい。そして退所は午前中。
 と、いうことは明日の夕方に予告があるかもしれない。暇なのもあり、使用頻度が低いものの片付けをし始めることに。
 14時頃、廊下から日本語ではなさそうな女性数人の話し声が聞こえた。ドアスコープから覗くと全身防護服の人達が掃除道具らしきものを持って歩いている。我々の生活を支えてくれる人達、ありがたい。

 これだけまとまった読書時間が取れる機会もそうないだろう、と『絡新婦の理(京極夏彦著)』を持ってきて二十年ぶりに読み返していたのだが。読めるのは日差しが明るい時間帯のみだったのに、5日目の途中で読みきってしまった。しまった、なにかもう1冊持ってくればよかった。

 朝食はミニサンドイッチと惣菜パンの詰め合わせ。ミニゼリーもついている。2度目のパン食、ありがたい。

 昼食は初の選択制、中華弁当と洋風弁当の2種が置いてあった。洋風を選択したところ、ミックスフライやオムレツなど様々なおかずが。昨日までの仕出し業者とは違う業者のようだ。なお、夕食の『牛ハンバーグトマトソース弁当』は前日までと同じ業者だった。


○療養6日目(発症10日目)
 この日も朝夕の測定値は特に問題なし。時おり思い出したように咳が出るが。まあ風邪だって咳だけ残るものね特に自分は気管支弱いし、そんな風に思いつついつも通りだらだら過ごす。
 ふと、「療養は明日までって聞いたけど、それは明日出られるってことなのか、それとも明日の24時まで療養ってことなのか」という根本的な疑問が頭をよぎる。ええと、発熱当日を1日目と数えるなら今日が10日目、ゼロ日目と数えるなら9日目、どっちだ?
 てっきり明日出られるんだと思い込んでたよ!うわー早く退所連絡くださいー、内心めちゃくちゃ焦り始める。

 18時頃、待ちに待っていた電話が。
「明日の朝9時半以降順次電話がかかってきますので、9時半までにすべての準備を終えてください」ああよかった。不織布の枕カバー・シーツ・掛け布団カバーははずして退所時にゴミ箱に捨てること、パルスオキシメーターやペンは所定の位置に返却すること、などの説明を受ける。

 朝食は鯖の味噌弁当、昼食はメンチカツ弁当、夕食は鯖の胡麻醤油焼き弁当、1日にサバが2回。夕食は初日と副菜含めてまったく同じメニューなので、丸1週間は経ってないけど1周したのかな?


○療養7日目(発症11日目)
 宿泊療養最後の朝。元々朝が早い仕事なので目が覚めるのも早く、この日も6時前から起きて身繕いと部屋の片付け、使い終わったものをどんどんしまっていく。
 朝7時に最後のLAVITA入力。体温計を荷物にしまって、処分品以外は持ってきたタオル1枚だけが洗面所に残る状態に。
…と、ここでまさかのハプニング。ビロウな話だがトイレットペーパーが切れかける。普通のホテルでチェックアウト寸前ならロビー階などのお手洗いを借りればいいだろうが、療養者は食事の配給場所と差し入れ&依頼品の受取場所にしか行くことができない、しかも決められた時間内のみ。
 退所は朝9時半以降順次なので、いつになるかはわからない。なので、最後の最後に申し訳ないが事務局に用意をお願いすることに。あと2時間半かそこらなのにすみません。

 宿泊療養最後の朝食は惣菜パンのセット。ミニゼリーもついてるし、久々に野菜ジュースの配布もあった。嬉しい。
 さっさと食べて歯を磨き、寝具以外のゴミをすべて配給場所のゴミ捨て場に持っていく。寝具は最後に出口で捨てられるとのことだが他のゴミはわからない、なのでゴミ捨てが可能な8時台に捨てておいた方が無難だろう。

 9時25分頃に電話が来て、退所可能になったので1階に降りるよう告げられる。
 寝具を詰めたゴミ袋と荷物、貸与品を持って1階ロビーへ。まず寝具と普通のゴミをそれぞれの捨て場に分けて捨てる。
 退所の列に並び、1人1人インターフォン越しにスタッフから宿泊療養証明書申請についての説明などを受け、貸与品を所定の位置に戻して完了。玄関で再度名前を確認し(脱走防止?)そして屋外へ。入口に立っていた警備員さんが最寄り駅への道を教えてくれた。…外だ。

 外は朝9時台にも関わらず、すでに暑さと湿気でむわっとしていた。24時間空調が効いた窓が開かない部屋にずっといたので、その空気すら懐かしい。発症日から数えれば10日、車に乗る時以外ずっと外に出ていなかった。
 歩いて駅に移動するうちに、宿泊療養のことが遠く儚い夢の中のように思えてきた。目に映る日常の光景と情報量が少ない今までの1週間とはあまりにもかけ離れすぎていたから。けれど、どちらも現実なのだ。

 まっすぐ帰宅して持っていった衣類やタオル類をすべて洗濯乾燥機(※除菌モード)にかけ、宿泊療養終了。

 発症から療養期間終了まで、自治体(※主に東京都)や保健所、病院、その他関わった方全員に本当によくしてもらった。皆さん丁寧で優しかった。
 願わくば、あの方々みんなが報われますように。そう心から祈りつつ、筆を置きたいと思う。少しだけでもここまで読んでくださった方の参考になりますように。

宿泊療養の持ち物について

 前回の記事『宿泊療養までの道のり』はこちら。

 

 宿泊療養が決定すると「持ち物は東京都の宿泊療養サイトを見てください」と言われるし、電話でも必要最低限の持ち物は教えてくれる。
 ただ、普通の旅行と違って宿泊療養は『一度施設に入ったら1週間前後、買い足しは原則不可能』『ホテルのアメニティはほとんど使えないと思った方がいい』という特殊な条件がある。

 ここでは「絶対に必要なもの」「あったら便利なもの」「現地に用意があるもの」に分けて、2022年夏の段階での宿泊療養持ち物リストを作ってみたいと思う。
 なお、持ち物に関しては昨年夏にご家族が10日間の宿泊療養となった友人A、そして別疾患で1週間強の面会&差し入れ不可入院経験がある友人Bのアドバイスが大変参考になった。この場を借りて2人にお礼を述べたいと思う。
 また、宿泊療養先のホテルによって使える設備に若干の差がある。詳しくは都のホームページ『これから宿泊療養をする方へ』内の『ホテルごとのチェックリスト』ページを見てほしい。


~絶対に必要なもの~

○保険証・帰宅時の交通費・スマホ&充電器
 絶対持ってくるよう指示があるもの。特にスマホとその充電器、初日の体調報告も毎日2回ある健康観察も全部スマホから行うので絶対に忘れないように。
○薬
 これも指示がある。処方薬や市販薬など、必要なもの全部。どうしようもなければ事務局が用意してくれるらしいが、基本的に自分でなんとかするしかない。
 発症初期と中期以降で症状が変わることも多々あるので、例えば初期は熱が高くて咳が少なくても咳止めやトローチ類などを多めに用意するなど、様々な状況に対応できるように用意するのが吉。持病などの薬や絆創膏なども必要。食事が偏るので胃腸が弱い人はその手の薬も。
○体温計
 忘れたら貸し出しがあるが、基本的には持参する。
○着替え
 1週間前後の宿泊になるので、部屋着や下着がその分必要になる。洗濯する場合は自室の洗面台で手洗い。パジャマは部屋着と共通でもよいが、替えた方が生活のリズムが作れる。
 1日3回のお弁当配給時のみ他の療養者に会うが、男女とも『Tシャツ&ジャージかハーパン』といった楽なスタイルが基本。洒落っ気はみんなまったくない、というかそんな余裕はないので気にせずともよい。クーラーの温度設定が細かくできない場合も多いので、羽織ものを1枚持っていった方がいい。あと靴下。
 靴は季節的にも流行的にも(筆者の療養は2022年夏)スポーツサンダルやクロックス、つっかけタイプのサンダル等を履いている人が多い。パッと履いて部屋を出てこられるので便利だと思う。自分はスニーカーで行ったので、いちいち靴下を履くのが地味に面倒だった。ただ、行きは都の車だが帰りは公共交通機関での自力なので、そこの考慮が必要。
○タオル・バスタオル
 ホテルだが貸し出しはないので持参する。乾きやすいよう薄手のものを、多少多めに持っていった方がよい。バスタオルは乾きにくいしクーラーの風避けやタオルケットの代わりにも使えるので最低2枚は欲しい。
○スリッパ等の部屋履き
 上記のサンダル類と同じでもいいが、あった方が楽。使い捨てできるものがあれば便利。
洗顔用品と基礎化粧品
 使い慣れたものを日数分。夏とはいえホテルなので乾燥対策が必要。
○サニタリー用品
 通常の体調ではないため体内リズムが狂う可能性大。差し入れ等でカバーしようにも基本的に翌日夜まで受け取れないので(※タイミングによっては2日後)いつもより若干多めに用意すると吉。


~あると便利なもの~

○暇つぶしの道具
 朝夕の健康報告、および1日3回のお弁当配給以外は全部が自由時間。とはいえ部屋からはお弁当配給時以外は一切出られないので、1週間前後の暇つぶしが必要に。部屋にはテレビくらいしかない。
 Wi-Fiを自由に使えるホテルが多いと思うが速度は施設によるし、全員が使うことを考えるとそこまでの良環境は望めない。高速大容量が必要なら自分で準備が必要。自分はAmazon Fire TV stickを持参したが、ホテルのWi-Fiだと接続が頻繁に切れた。
 なお、施設にもよるが基本的にホテルは部屋の照明が暗めなので、読書や手芸などで手元が明るい環境が必要な人は自力で用意するしかない。
○マグカップ・プラコップ・皿・カトラリー
 ホテル備品のカップ類は撤去されている。代わりに紙コップが支給されるが(※筆者の宿泊施設は厚手紙コップ3つが部屋に、普通の紙コップがお弁当配給場所にあった)紙なので徐々にへたってくる。特にマグカップがあるとなにかと便利。お皿・カトラリーは持ち込む食料によっては必要。
○おやつ・嗜好品(酒煙草はNG)・飲み物
 基本的に生活が単調になるので、好みにもよるが、同じものを大量に持っていくよりいろんな種類のものをあれこれ用意した方が飽きずにすむ。ホットの飲料はインスタントコーヒー・紅茶ティーバッグ・粉末緑茶のみ、1種ずつお弁当と一緒に配布がある。
 お弁当は仕出し業者にも寄るだろうが味が濃いめ、かつ和風というか醤油系の味付けが多い(※少なくとも自分のところは)。喉が痛い人は特に、ゼリーやプリンなど柔らかく甘い味の洋菓子をスプーンと一緒に複数持ち込んだ方がいい。部屋の冷蔵庫は自由に使える。あと、上記の通り似たような味付けのお弁当が多いので洋風の粉末スープ類が超おすすめ。
(差し入れでは要冷蔵品は不可。また冷凍庫は大抵の施設にないと思う)
 ジュース、牛乳などの冷蔵飲料も飲む習慣がある人は持ってきた方がいい。もらえるジュース類は野菜ジュース1種のみで、それもあったりなかったりだった。
○果物・生野菜
 宿泊施設ごとに違うだろう仕出し業者にもよるが、生野菜や果物はほとんど出ないと思った方がいい。そのため、生野菜や果物がないと生きていけないタイプの人、ビタミン不足が口内炎等に直結するタイプの人は、自分で用意し持ち込むしかない。
 ただし、刃物類は持ち込み不可。なので「刃物を使わずに食べられるもの」が条件となる。野菜ならミニトマトやキュウリだろうか。果物は…冬ならミカン類だろうが、夏はカットフルーツくらいしかないかも。
○調味料・ふりかけ・サプリメントなど
 必要に応じて。
○パン類・シリアル類・非常食
 これも各施設にお弁当を納入している仕出し業者によるが、朝食を含めて和食系(というかごはん)が多い傾向にある。朝はパンやシリアルでないと食べられない人はその準備を(※お皿も含め)。好き嫌いが多い等の人も同様。ちなみに、残ったスープを流すとホテルの排水が詰まるという理由でカップ麺は持ち込み・差し入れ共に禁止、カップ焼きそばのみOK。←汁物系の残りものは洗面台ではなくお手洗いに少しずつ流すしかないと思う。

 ただ注意が必要なのは、「電子レンジが自由に使える施設は非常に少ない」。各部屋に電子レンジがあるのは多分東急ステイ系列くらい(※都内の場合)。当たった人は超勝ち組、おめでとう。
 お弁当配布場所に電子レンジがある場合、複数台あっても全部にお弁当を暖めるための長蛇の列ができているため、他の理由で使うことはまずできない。そして配布時間以外は自室から出られない。なので「電子レンジを使わなくても食べられる」が最低条件となる。
○延長コード類
 施設によってはコンセントが少ない・不便な場所にしかないので、持っていった方が無難。
○置き時計
 これも施設によるが。アナログでもデジタルでも、盤面が見やすい時計があるとなにかと便利。
○ヘアケア用品
 シャンプー&コンディショナーは備え付けのものがあるが、使い慣れたものがいい人は持ってくるべし。
○寝具
 シーツ・枕カバー・布団カバーは感染対策で不織布のものがかかっている。肌触りが苦手な人は自力で持ち込む必要あり。

○爪切り・耳かき等
 なければ1週間前後できないので必要に応じて。特に爪が割れやすい人は注意が必要

○掃除道具・洗濯道具
 滞在中、清掃は一切入らない。いわゆるコロコロ、あるいはガムテープ類があると落ちた髪の毛対策になる。また、お風呂・洗面台・トイレも清掃道具がないので、汚れを気にする人は道具を持ち込む必要がある。
 1週間前後の滞在中に洗濯をする予定の人は洗剤(少量)や洗濯ばさみなどを持ってくると便利。洗剤は申請すればもらえるが、弁当配給時間にしか受け取れないので地味に忙しい。余談だが、洗濯物を部屋干しすることで室内の乾燥対策になる。


~現地に用意があるもの~

(※施設により多少の違いあり。サイトで確認を)

配布物品
・ミネラルウォーター&緑茶のペットボトル(好きなだけ)
・インスタント味噌汁
・インスタントコーヒー
・紅茶ティーバッグ
・粉末緑茶
・スティックシュガー
・粉末ミルク
・プラスチックマドラー
・割り箸
・お手拭き
・紙コップ
不織布マスク
・髭剃り
・歯ブラシセット
・ゴミ袋

室内備品
・ドライヤー
・シャンプー&コンディショナー&ボディソープ
・ハンガー
ティッシュ1箱
・湯沸かしポット
・冷蔵庫
・テレビ

事務局への申請が必要なもの
・インスタントお粥やゼリー飲料などの流動食
・洗剤
・その他(緊急の薬等、対応可能なら渡してもらえる)

 

 ざっとこんなところだろうか。
 宿泊療養は基本的に、最初に持ち込んだものだけで1週間前後を乗りきるしかないという特殊な状況下に置かれることになる。
 荷物が多すぎると送迎車に載せられないので(乗り合いになることが多い&トランク等は使わせてもらえなさそう)取捨選択とコンパクトな荷造りが肝要。機内持ち込みサイズのキャリーと膝に抱えられる荷物が持っていける最大サイズだと推測される。

 記載がこれから宿泊療養になる人達の参考になりますように。

 

実際の宿泊療養は『宿泊療養中の生活』で

宿泊療養までの道のり

~はじめに~

 2022年7月、新型コロナウィルス感染症の有症状感染者となった。

 と言っても、7月末の段階で東京都内は60人に1人が感染者となっている。
 家族や職場等、迷惑をかけた方々には心から申し訳ないと思っているが、感染自体は珍しいことではない。しかも、有症状といってもおそらく『軽症者』の枠の中でも相当軽い方だ。なにしろ、熱が38度以上出たのがたった1日、それも瞬間最大風速レベルの短時間で済んでしまったから。

 頭痛も1~2日で消えた。発症翌日から咳が出始めたが、それもTVやSNSで見るような症状よりずっと軽く、薬さえ飲んでいれば昼間は時々咳き込むだけ。横になると咳が出やすくなるが肋骨が痛むものの眠れないといったことはない。喉も痛いというよりは違和感がある程度。あとは鼻づまりか。

 珍しくもなんともない感染、しかも超軽症でありながらなぜこんなところに体験談を書こうとしているかと言えば。
 唯一、まあまあ珍しいだろう体験『宿泊療養』をしているからだ。これから宿泊療養になる可能性がある人、宿泊療養を希望する人に向けて、多少参考になる記録にできたらいいなと思っている。

 まずはプロローグとして『宿泊療養にいたる経緯』を書いていきたいと思う。長くなるがお付き合いいただければ幸い。

 

~筆者の基本スペック~

 東京都郊外…といえば聞こえがいいが、めっちゃ田舎の住宅地にある戸建て在住。基礎疾患持ちの同居家族あり。
 女性。昭和生まれで50歳未満…といえばだいたいの年代がおわかりいただけるかと。2022年2月上旬に自衛隊大規模接種会場でワクチン3回目接種済。ちなみにモ→モ→モ。

 テレワークが不可能な、いわゆるエッセンシャルワーカー。

 

~宿泊療養にいたるまで~

○発症前日

 午後から妙に鼻がつまり、何度も鼻をかむ。
 ただ、筆者はアレルギー性鼻炎の持病持ちなため、鼻がつまることはそう珍しくない。なので「なんか埃っぽいのかな?」と思っていた。


○発症当日

 早朝4時頃、頭痛と喉の違和感で目覚める。熱っぽい気がして体温を測ると『37.1℃』。ちなみに筆者、普段36.0~36.1℃から体温がほぼ動かないので、36℃台後半でも「微熱」状態で結構だるくなる。
 うわーヤバいな感染か?とりあえずまだ朝早いので様子を見よう…と朝7時まで寝直してまた検温→『37.2℃』
 あちゃーこりゃ確定か…?と思いつつ、東京都の発熱相談センターに電話することに。
(この日はたまたま所用で仕事が休暇だった)

 時間帯のおかげか、発熱相談センターにはすぐ繋がった。
 丁寧で優しげな声の女性担当者さんは聞き取りの合間合間に「それはお辛いことでしょう」「大変でしょうが…」とちょいちょい、こちらを気遣う言葉を入れてくれる。ああ、自分も今後のお客様対応時に真似しようと心に決める。
 担当者さんからの指示は「発熱外来に電話予約をしたうえでの受診」 ただ、かかりつけ病院がないと伝えると、予約の電話が現在本当に繋がらないこと、東京都のサイトに発熱外来設置医療機関のリストがあるのでかかりつけ外でも診療してくれる病院に手当たり次第に何百回でも電話をすること、当日予約がとれなくても診療が翌日以降になると言われてもそれが普通だと思って諦めないこと、などをアドバイスしてくれた。

(※注:その後あまりにも感染者が増えすぎたために病院受診の基準が設定され、上記の症状は発熱外来の受診対象外となった。なので、相談センターの指示及びこれからの行動ははあくまでも「当時の基準による」ことをご了承願いたい)

 報道などでは聞いていたが本気で過酷な世界だと思いつつ、PCで教えられたリストを開き、たいていの病院が電話受付を始める午前9時を待つ。午前8時頃の検温で『38.7℃』、だいぶ高いので市販の解熱剤を飲む。
 ちなみに間の悪いことに、この日は一般的な病院だと休診が多い曜日だった。リスト内で『かかりつけ以外も可』となっている病院は半分程度だが、その中の2~3割が休診している。これは相当厳しいぞ…と覚悟を決めた。

 午前9時ちょうど、まずは家から一番近い診療所にかけたが話し中。2番目、3番目…と言われたとおりあちこちに電話をかけるが、どこも全部繋がらない。中には「医師が感染したため休業中」「検査キットが底をついたため受付停止」などのアナウンスが流れるところも。
 昔のチケットぴあを思い出す電話の繋がらなさっぷりに多少イラつきつつ、ひたすら電話をかけ続けるが。20分が過ぎた頃から、運良く繋がっても「もう予約が満杯」と断られる率が増えてくる。どこの病院の担当者さんも本当に申し訳なさそうに断ってくるので、なんだか気の毒に思えてくる。別に病院が悪いわけじゃないものね…。

 6ヶ所ほど断られたところで、家人が車を出してくれるというのでもう少し離れた地域まで手を広げることにする。同時に、小さな医院はもう無理だろうと、大きめの病院に絞ってかける作戦に変更。

 9時40分頃、車で20分ほどの距離にある総合病院の発熱外来に繋がった。発熱相談センターからの指示でかけていることを伝えると(※そう言えと指示があった)夕方からでいいならまだ枠があるという。構わないと告げると、あとで折り返しの電話をすると言われたので最低限の情報だけ教えて待つことに。

 待機している間に職場に第一報を入れる。とりあえず、PCR検査をやるとすれば結果は翌日以降と思われるので、翌日も休みをとらざるを得ない。人手不足なのに悪いなあ…と思ったが、どうにもならないのでひとまず許可が出る。

 午前11時過ぎに病院から折り返し電話があり、16時に病院の正面玄関横の待機場所に来るよう告げられる。その時、保険証やお薬手帳と共に預り金5千円を必ず『現金で』持ってくるようにと念を押される。

 

 16時少し前、車を出してもらって予約した総合病院へ。家人には駐車場で待っていてもらうことに。
 屋外の待機場所には結構な数の人が並んでいた。年代はバラバラだが、中年以降が多い。家族総出で来ているらしき人達もいた。発熱外来は午前11時からと午後16時からだが、日陰とはいえこの猛暑、午前中並んだ人は特にきつかっただろうなと思った。

 1人ずつ名を呼ばれて保険証と預り金を預けて預り証を受け取り、しばらく待っていると屋内の待機所に案内される。電話であれだけ念を押されたのに預り金を持ってきていないと言っている若い男性がいたが、あの人はいったいどうなったのだろう。
 屋内待機所で保険証を返され、問診票記載と検温と酸素飽和度測定。確か37.5℃くらい。酸素飽和度の数値はこちらから見えず、また何も言われなかったが。隣にいた老婦人は「96ですね」と言われていた。

 16時半前後、何重ものビニールでおおわれた仮設の診察室(=廊下の一部を区切った部屋)で症状の聞き取りと簡単な診察をされ、説明を受ける。「喉が赤いので解熱剤と消炎剤を出す。解熱剤は熱が下がったらやめていい」「今、うちの病院は6割がコロナ陽性」等の話を聞く。
 PCR検査は室外…というか、病院裏口らしき半分屋外の軒下で行われた。終わったら色々説明を書いた紙を渡され、結果は電話で知らせるが感染者が多すぎて検査センターがパンク状態のため、翌日に出ない可能性があるという説明を受ける。


○発症2日目

 昨日まではほとんどなかった咳が出始める。喉というより鼻と喉の境目あたり、上顎が痛い。とはいえ、我慢できないほどの痛みではない。熱は37℃台の前半後半をいったりきたり。朝目覚めると寝汗がものすごい。
 15時半頃、病院から電話。「陽性です」あああ…。職場に電話、少なくとも翌週まで休みになることを伝える。
 発生届が出されたようで、当日と翌日、厚労省と保健所からそれぞれショートメールが入る。

 ここで困ったのが「さて、家庭内感染をどう防ごう?」
 実は、普段は元気な家人にはいわゆる基礎疾患があり、それがもとの入院歴も複数ある。特に気管支系の感染症ダメ絶対な人だ。
 戸建てなので発熱の段階で可能な限り生活導線を分けているが、それでも限界はある。豪邸でもなんでもない、都内のウサギ小屋一軒家だし。
 少なくとも10日後までなんとしても感染させずに乗りきらねばならない。だが、まさか1度も隔離部屋から出ないわけにもいかない。詰んだ。

 その時ふと、15年来の友人一家のことを思い出した。デルタ株が大流行したちょうど1年前、独り暮らしのお子さんが都内で10日間のホテル療養をしていたのだ。…これだ。
 慌ててスマホで検索すると、宿泊療養センターの電話受付は9時から16時まで。この時点で17時を過ぎている。…よし、明日だ。

…とはいえ。 東京都の宿泊療養サイトの冒頭には現在、真っ赤な太文字でこう書いてある。

『感染が急拡大しており、宿泊療養施設では現在、以下のような方を優先して入所いただいています。                
・コロナの症状がある方で、50歳以上の方や心疾患、呼吸器疾患又は糖尿病等、重症化リスクの高い基礎疾患のある方(なお、宿泊療養施設では対応困難な慢性肺疾患、心血管疾患を有する方、内服等でコントロール不能な糖尿病の方等は除きます。)
・同居の家族に重症化リスクの高い基礎疾患のある方や妊婦がいて、早期に隔離が必要な方』
(※東京都ホームページより)

 最初に書いたとおり筆者は50歳未満、しかも目立つ基礎疾患も既往症もない。なので1つ目は当てはまらない。可能性があるとすれば2つ目だ。なんとしても状況を訴えて宿泊療養を勝ち取らねば、そう心に決める。

 都のサイトによると同居の濃厚接触者用に抗原検査キットを無料郵送配布しているとのことで、それを申し込んでおく。

 

○発症3日目

 朝目覚めるとまた寝汗がひどい。横になると咳が出るせいか肋骨の下部が猛烈に痛い。熱は36℃台後半~37℃台前半を行き来している。食欲がない、とまではいかないがめちゃくちゃあるわけでもないので、前日からスープ類にパンやご飯を入れたものを主食にし、野菜や果物を追加で細々と食べている←ビタミンが必要だという意識。

 朝9時、またチケットぴあ…もとい、東京都宿泊療養センターへの電話戦争スタート。
 予想通りというか、発熱外来同様に繋がらない。ひたすらリダイヤルを繰り返し、30回を軽く越えた頃。親の声より聞いた『こちらはNTTです。おかけになった番号は~』ではない、電話の発信音が流れる。やったか?!
「はい、東京都宿泊療養…」おっしゃあ!!

 繋がったといっても、この段階では住所氏名生年月日や陽性判明日、陽性判定した病院などを伝えて事実確認をするだけだ。詳しくは折り返し電話がかかってきてからになる。
 友人から「急に決定する可能性がある」と教わったので、自宅でも宿泊でも必要になるだろうあれこれを置き配で注文しておく。


○発症4日目

 相変わらず目覚めると寝汗がすごく、肋骨下部が痛む。熱は36℃台基本で出ても37℃ちょい。医師に言われたとおり処方されたカロナールをやめ、友人から勧められた市販の咳止め薬に切り替える。
(受診段階では咳が出ていなかったため、咳止め薬の処方をされていなかった)
 同居の家人は今のところ体調に変化がない。

 

 午前10時過ぎ、都の宿泊療養担当から折り返しの電話がかかってきた。確か個人情報と現在の発熱状況のみの聞き取りだった。
「大変な数の宿泊療養希望者がいるので次の連絡は宿泊療養が可能になった場合のみ」「その連絡もいつになるかはわからない。数日後になるかもしれない」との説明を受ける。

 最後に伝えたいことがあるか聞かれたので、基礎疾患持ちの家族がいて気管支系の病気は厳禁であるため、規定年齢の50歳未満ではあるが電話をかけた旨を告げる。
 それに対し、担当者さんはすまなそうに「以前は同居家族の基礎疾患は優先事項だったが、今は人数が増えすぎて考慮できなくなった」と説明し、家庭内での導線の分け方などを丁寧にアドバイスしてくれた。ちなみに年齢に関しては「あら、そうなんです?」とあまり関係なさそうな口調だった。あれ?

 都内の宿泊療養者は全感染者の3%という報道も目にし、これはまず無理だなーアドバイスを参考に自宅で乗りきるしかない、そう腹をくくってとりあえず寝ることにした。

 

 午後13時40分頃、見知らぬ電話番号から着信が。
 慌てて出ると「こちらは東京都宿泊療養担当です」え?!「○○さんの宿泊療養が決定しました」ええええええーーーー?!
 明日午前の早い時間に迎えの車が行くが大丈夫か、アレルギーはあるか、宿泊先は、持ち物は…等々、聞き取りと説明がある。
 電話を終えて少し呆然としてしまったが、そんな場合ではないと思い直した。この時点で残り約1週間の宿泊療養になる。その準備と留守にする準備が必要なのだ。

 

 かくして発熱から4日、急転直下で宿泊療養に転じることとなった。

 とにかく「電話関係は昔のチケットぴあだと思って諦めない」「無理じゃね?と思ってもとりあえず試してみる」これが大事だと悟った。宿泊療養できるのは全感染者の3%だろうが、まず電話をかけなければ当たらない。


 特に現在、宿泊療養は「発熱37.5℃以下、症状が安定している」が要件なので、同居家族はともかく自分自身はこんな軽い症状でいいんだろうか…と思う人ほど対象になりやすいのではないかと思う。

 


役に立った持ち物等は『持ち物について』 実際の宿泊療養は『宿泊療養中の生活』で。