東京都・宿泊療養体験記2022夏

2022年7月下旬 新型コロナ陽性になりました

宿泊療養の持ち物について

 前回の記事『宿泊療養までの道のり』はこちら。

 

 宿泊療養が決定すると「持ち物は東京都の宿泊療養サイトを見てください」と言われるし、電話でも必要最低限の持ち物は教えてくれる。
 ただ、普通の旅行と違って宿泊療養は『一度施設に入ったら1週間前後、買い足しは原則不可能』『ホテルのアメニティはほとんど使えないと思った方がいい』という特殊な条件がある。

 ここでは「絶対に必要なもの」「あったら便利なもの」「現地に用意があるもの」に分けて、2022年夏の段階での宿泊療養持ち物リストを作ってみたいと思う。
 なお、持ち物に関しては昨年夏にご家族が10日間の宿泊療養となった友人A、そして別疾患で1週間強の面会&差し入れ不可入院経験がある友人Bのアドバイスが大変参考になった。この場を借りて2人にお礼を述べたいと思う。
 また、宿泊療養先のホテルによって使える設備に若干の差がある。詳しくは都のホームページ『これから宿泊療養をする方へ』内の『ホテルごとのチェックリスト』ページを見てほしい。


~絶対に必要なもの~

○保険証・帰宅時の交通費・スマホ&充電器
 絶対持ってくるよう指示があるもの。特にスマホとその充電器、初日の体調報告も毎日2回ある健康観察も全部スマホから行うので絶対に忘れないように。
○薬
 これも指示がある。処方薬や市販薬など、必要なもの全部。どうしようもなければ事務局が用意してくれるらしいが、基本的に自分でなんとかするしかない。
 発症初期と中期以降で症状が変わることも多々あるので、例えば初期は熱が高くて咳が少なくても咳止めやトローチ類などを多めに用意するなど、様々な状況に対応できるように用意するのが吉。持病などの薬や絆創膏なども必要。食事が偏るので胃腸が弱い人はその手の薬も。
○体温計
 忘れたら貸し出しがあるが、基本的には持参する。
○着替え
 1週間前後の宿泊になるので、部屋着や下着がその分必要になる。洗濯する場合は自室の洗面台で手洗い。パジャマは部屋着と共通でもよいが、替えた方が生活のリズムが作れる。
 1日3回のお弁当配給時のみ他の療養者に会うが、男女とも『Tシャツ&ジャージかハーパン』といった楽なスタイルが基本。洒落っ気はみんなまったくない、というかそんな余裕はないので気にせずともよい。クーラーの温度設定が細かくできない場合も多いので、羽織ものを1枚持っていった方がいい。あと靴下。
 靴は季節的にも流行的にも(筆者の療養は2022年夏)スポーツサンダルやクロックス、つっかけタイプのサンダル等を履いている人が多い。パッと履いて部屋を出てこられるので便利だと思う。自分はスニーカーで行ったので、いちいち靴下を履くのが地味に面倒だった。ただ、行きは都の車だが帰りは公共交通機関での自力なので、そこの考慮が必要。
○タオル・バスタオル
 ホテルだが貸し出しはないので持参する。乾きやすいよう薄手のものを、多少多めに持っていった方がよい。バスタオルは乾きにくいしクーラーの風避けやタオルケットの代わりにも使えるので最低2枚は欲しい。
○スリッパ等の部屋履き
 上記のサンダル類と同じでもいいが、あった方が楽。使い捨てできるものがあれば便利。
洗顔用品と基礎化粧品
 使い慣れたものを日数分。夏とはいえホテルなので乾燥対策が必要。
○サニタリー用品
 通常の体調ではないため体内リズムが狂う可能性大。差し入れ等でカバーしようにも基本的に翌日夜まで受け取れないので(※タイミングによっては2日後)いつもより若干多めに用意すると吉。


~あると便利なもの~

○暇つぶしの道具
 朝夕の健康報告、および1日3回のお弁当配給以外は全部が自由時間。とはいえ部屋からはお弁当配給時以外は一切出られないので、1週間前後の暇つぶしが必要に。部屋にはテレビくらいしかない。
 Wi-Fiを自由に使えるホテルが多いと思うが速度は施設によるし、全員が使うことを考えるとそこまでの良環境は望めない。高速大容量が必要なら自分で準備が必要。自分はAmazon Fire TV stickを持参したが、ホテルのWi-Fiだと接続が頻繁に切れた。
 なお、施設にもよるが基本的にホテルは部屋の照明が暗めなので、読書や手芸などで手元が明るい環境が必要な人は自力で用意するしかない。
○マグカップ・プラコップ・皿・カトラリー
 ホテル備品のカップ類は撤去されている。代わりに紙コップが支給されるが(※筆者の宿泊施設は厚手紙コップ3つが部屋に、普通の紙コップがお弁当配給場所にあった)紙なので徐々にへたってくる。特にマグカップがあるとなにかと便利。お皿・カトラリーは持ち込む食料によっては必要。
○おやつ・嗜好品(酒煙草はNG)・飲み物
 基本的に生活が単調になるので、好みにもよるが、同じものを大量に持っていくよりいろんな種類のものをあれこれ用意した方が飽きずにすむ。ホットの飲料はインスタントコーヒー・紅茶ティーバッグ・粉末緑茶のみ、1種ずつお弁当と一緒に配布がある。
 お弁当は仕出し業者にも寄るだろうが味が濃いめ、かつ和風というか醤油系の味付けが多い(※少なくとも自分のところは)。喉が痛い人は特に、ゼリーやプリンなど柔らかく甘い味の洋菓子をスプーンと一緒に複数持ち込んだ方がいい。部屋の冷蔵庫は自由に使える。あと、上記の通り似たような味付けのお弁当が多いので洋風の粉末スープ類が超おすすめ。
(差し入れでは要冷蔵品は不可。また冷凍庫は大抵の施設にないと思う)
 ジュース、牛乳などの冷蔵飲料も飲む習慣がある人は持ってきた方がいい。もらえるジュース類は野菜ジュース1種のみで、それもあったりなかったりだった。
○果物・生野菜
 宿泊施設ごとに違うだろう仕出し業者にもよるが、生野菜や果物はほとんど出ないと思った方がいい。そのため、生野菜や果物がないと生きていけないタイプの人、ビタミン不足が口内炎等に直結するタイプの人は、自分で用意し持ち込むしかない。
 ただし、刃物類は持ち込み不可。なので「刃物を使わずに食べられるもの」が条件となる。野菜ならミニトマトやキュウリだろうか。果物は…冬ならミカン類だろうが、夏はカットフルーツくらいしかないかも。
○調味料・ふりかけ・サプリメントなど
 必要に応じて。
○パン類・シリアル類・非常食
 これも各施設にお弁当を納入している仕出し業者によるが、朝食を含めて和食系(というかごはん)が多い傾向にある。朝はパンやシリアルでないと食べられない人はその準備を(※お皿も含め)。好き嫌いが多い等の人も同様。ちなみに、残ったスープを流すとホテルの排水が詰まるという理由でカップ麺は持ち込み・差し入れ共に禁止、カップ焼きそばのみOK。←汁物系の残りものは洗面台ではなくお手洗いに少しずつ流すしかないと思う。

 ただ注意が必要なのは、「電子レンジが自由に使える施設は非常に少ない」。各部屋に電子レンジがあるのは多分東急ステイ系列くらい(※都内の場合)。当たった人は超勝ち組、おめでとう。
 お弁当配布場所に電子レンジがある場合、複数台あっても全部にお弁当を暖めるための長蛇の列ができているため、他の理由で使うことはまずできない。そして配布時間以外は自室から出られない。なので「電子レンジを使わなくても食べられる」が最低条件となる。
○延長コード類
 施設によってはコンセントが少ない・不便な場所にしかないので、持っていった方が無難。
○置き時計
 これも施設によるが。アナログでもデジタルでも、盤面が見やすい時計があるとなにかと便利。
○ヘアケア用品
 シャンプー&コンディショナーは備え付けのものがあるが、使い慣れたものがいい人は持ってくるべし。
○寝具
 シーツ・枕カバー・布団カバーは感染対策で不織布のものがかかっている。肌触りが苦手な人は自力で持ち込む必要あり。

○爪切り・耳かき等
 なければ1週間前後できないので必要に応じて。特に爪が割れやすい人は注意が必要

○掃除道具・洗濯道具
 滞在中、清掃は一切入らない。いわゆるコロコロ、あるいはガムテープ類があると落ちた髪の毛対策になる。また、お風呂・洗面台・トイレも清掃道具がないので、汚れを気にする人は道具を持ち込む必要がある。
 1週間前後の滞在中に洗濯をする予定の人は洗剤(少量)や洗濯ばさみなどを持ってくると便利。洗剤は申請すればもらえるが、弁当配給時間にしか受け取れないので地味に忙しい。余談だが、洗濯物を部屋干しすることで室内の乾燥対策になる。


~現地に用意があるもの~

(※施設により多少の違いあり。サイトで確認を)

配布物品
・ミネラルウォーター&緑茶のペットボトル(好きなだけ)
・インスタント味噌汁
・インスタントコーヒー
・紅茶ティーバッグ
・粉末緑茶
・スティックシュガー
・粉末ミルク
・プラスチックマドラー
・割り箸
・お手拭き
・紙コップ
不織布マスク
・髭剃り
・歯ブラシセット
・ゴミ袋

室内備品
・ドライヤー
・シャンプー&コンディショナー&ボディソープ
・ハンガー
ティッシュ1箱
・湯沸かしポット
・冷蔵庫
・テレビ

事務局への申請が必要なもの
・インスタントお粥やゼリー飲料などの流動食
・洗剤
・その他(緊急の薬等、対応可能なら渡してもらえる)

 

 ざっとこんなところだろうか。
 宿泊療養は基本的に、最初に持ち込んだものだけで1週間前後を乗りきるしかないという特殊な状況下に置かれることになる。
 荷物が多すぎると送迎車に載せられないので(乗り合いになることが多い&トランク等は使わせてもらえなさそう)取捨選択とコンパクトな荷造りが肝要。機内持ち込みサイズのキャリーと膝に抱えられる荷物が持っていける最大サイズだと推測される。

 記載がこれから宿泊療養になる人達の参考になりますように。

 

実際の宿泊療養は『宿泊療養中の生活』で